裸眼立体視

　ステレオ写真は，左右の目それぞれで見たものに相当する，2枚1組の写真である。この写真をただそのまま眺めるだけでは，単に平面に記録された画像である。
　ステレオ写真から空間を再現するためには，左目で見たものに相当する画像と右目で見たものに相当する画像を，頭のなかで合成する立体視をしなければならない。
　立体視用のビューワーを用いれば，比較的容易にステレオ写真を楽しむことができる。しかし，適切な大きさにつくられたステレオ写真であれば，ちょっとした練習で，道具を使わなくても立体視を楽しむことができるようになる。
　ビューワーを使わずに立体視をする裸眼立体視には，平行法と交差法がある。

平行法と交差法〜平行法とは

　平行法は，左目で見たものに相当する画像を左目で，右目で見たものに相当する画像を右目で見る方法である。交差法は，左目で見たものに相当する画像を右目で，右目で見たものに相当する画像を左目で見る方法である。平行法では，左右一対の写真に写った像の間隔が，一般的な両目の間隔に近い7cmくらいにして見る必要がある。もっともこれには個人差があり，また練習次第ではもっと間隔を広げても立体視ができるようにもなるが，どちらかというとより間隔が狭い方が，立体視がやりやすい。
　交差法で見る場合は，間隔をさらに離しても見ることができる。すなわち，平行法にくらべて，より大きな立体写真を楽しむことができるようになる。

平行法の練習

　この図を，ぼーっとながめてほしい。30cmくらいの距離に近づいて，目の力を抜き，遠くを見つめるように，ぼーっとながめよう。そうすると，図がだんだんぼやけて見えてくるはずだ。そして，図が二重に見えてくるのではないだろうか。さらに力を抜いていけば，二重になった図が互いに近づいて，「矢が的を射る」ように見えてくる。

　このようにして左右一対の写真を重ね合せることで，ステレオ写真を平行法で見ることができるようになる。矢が何度か的に命中したら，こんどは実際のステレオ写真を見てみよう。

平行法で見る

　下の写真は，リアリスト判のKodak Stereo Cameraで撮影したネガフィルムから作成したものである。15インチのディスプレイの1024ピクセル×768ピクセルで表示している場合，2つの画像に写った像の間隔がおよそ5cmとなり，立体視が楽にできる大きさになっているはずだ。

　矢を的に命中させたときのように，ディスプレイに近づいてぼーっとながめてみよう。
　左右の画像が近づいてきただろうか。こんどはそれが，きちんと重なったところで止めてみよう。中央にある，とがった岩の先を基準にすれば，あわせやすい。
　いま，2つの画像は重なっているが，ピントはぼやけたままかもしれない。ここで目に少し力を入れれば，ピントが合う。ピントがあったとき，右手前にいるサル，中央の岩，岩のまわりのくぼみなどが，はっきり立体的に見えてくる。この部分のコツは，うまく表現できないのが申しわけない。

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