ステレオカメラを楽しもう

 ステレオ写真とは

写真は,平面上に画像が記録されたもの。
そこから,立体的な空間が再現される。
それが,
ステレオ写真だ。

右目と左目は違う景色を見ている

 顔の正面に,たとえばコップを1つ置いてみよう。そのまま,右目を閉じて左目だけを開いても,コップは1つ見えている。逆に,右目を開いて左目を閉じても,コップは1つ見えている。両目を開いて見ても,コップは1つ見えている。
 顔の位置を動かさないようにして,もう一度,右目だけと,左目だけで,コップを見てみよう。右目だけで見たときは,左目だけで見たときにくらべて,コップの右側が多く見え,左側が見えにくくなっているはずだ。逆に,左目だけで見たときは,右目だけで見たときにくらべて,コップの左側が多く見え,右側が見えにくくなっているはずだ。
 このように,右目で見るときと,左目で見るときとでは,コップが見えるときの角度が少し異なっている。この差は,視差とよばれている。

▲視差のイメージ

2つの目はなんのため

 右目と左目とでは,コップの見え方が微妙に異なっている。ところが,それらを2つの別々のコップとしてではなく,1つのコップとして認識している。
 右手と左手とに,それぞれ1本ずつペンをもち,両目を開いたままその先を突き合わせてみよう。うまくできただろうか。うまくできたら,こんどは右目でも左目でもどちらでもいい,どちらか一方の目を閉じてやってみよう。

▲ペンの先を突きあわせてみよう

 両目を開いていたときにくらべて,難しかったのではないだろうか。
 このように,一方の目だけで見ているときは,ものの遠近感がとらえにくくなっている。つまり,左右の目で見るときの視差を利用して,私たちは立体を認識しているのである。
 多くの動物も,左右一対の目をもっている。イヌやネコなどの肉食動物は,私たちと同様に,顔の正面に目が並んでいる。これは,獲物をとらえるために,遠近感を把握するのに好都合であるといえる。一方,ウシやウマなどの植食動物は,目が顔の左右側面に寄っていて,遠近感の把握よりも,より広い範囲を見るのに都合よくなっているといえる。

視差を利用して空間を認識

 どんなに高価で高性能のカメラを使っても,写真は平面にしか見えない。それは,カメラのレンズが左右一対ではない,つまり写真の「目」が1つだからである。
 それならば,空間を記録するには,写真にも左右一対の目を与えればよいことになる。左目で見たものに相当する写真と右目で見たものに相当する写真を撮り,それぞれ左目と右目で見るようにすれば,立体的に見えるようになる。これがステレオ写真だ。

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